玄米の知恵袋

玄米の正しい食べ方と、効果について

玄米は正しい炊き方で危険な毒をとり除く

玄米に含まれる成分のアブシジン酸フィチン酸の有害作用は、水に浸けるだけで無毒化できます。(有害作用について詳しくは下にあります。)
いわゆる発芽玄米をつくることで、玄米の有毒成分を無害にできます。

玄米の毒

 

 

玄米の毒をとる方法

発芽玄米の作り方はスーパーなどで市販されている玄米を、数時間から3日ほど水に浸けるだけです。あとは白米と同じように炊飯器で炊くだけで完全食のできあがりです。

ポイント
  • 市販の玄米でかんたんにつくれる(1kgあたり¥500 ~ ¥1,000)
  • 数時間から3日水につける

 

発芽玄米の作り方

 作り方は水に浸けるだけです。
夏は一晩から1日ほど水につけましょう。
冬は水温が低いので、1日から3日ほど水につけましょう。

発芽玄米

夏などは一晩つけただけで水が糠臭くなりますので、こまめに水をかえましょう。
水につけたまま数日間おくと、腐ったような匂いがしてきます。酸っぱいような異臭がしたら腐っていますので、食べずに捨てましょう。



また、理想的な水に浸ける時間は、35℃から40℃の水に4時間から6時間が良いとされています。ヨーグルトメーカーオーブンの発酵機能を利用して、温度を保って発芽させることができます。


胚芽の部分からちょっとだけが出ます。

胚芽

発芽した状態はこちらをご参考ください。(Google画像検索「発芽玄米」
芽が伸びているように見えなくても大丈夫です。

ポイント
  • 芽が伸びているように見えなくても大丈夫
  • 1日~3日おく場合は水はこまめに変える

 

玄米の正しい炊き方 炊飯器で炊く場合

玄米はふつうの炊飯器でおいしく炊けます。炊き方は難しく考えず、基本は白米と同じと考えましょう。気を付けるのは、パサパサした食感になりやすいので、水に浸ける時間を長めにするか、水を少し多めにして炊くなどの対策をします。

その1 計量は白米と同じ

白米とおなじ計量カップではかります。水に浸けた後は水を吸って多少膨らみますが、水に浸ける前の状態の量ではかります。

お米の計量

その2 さっと洗う

玄米を洗う場合は、白米と違って水が白く濁りません。表面についた汚れを落とすつもりで軽くかき混ぜ、1~2回すすぎましょう。

その3 水に浸す

夏は数時間から1日ほど、冬は1日から3日ほど水に浸けておきましょう。白米よりも水を吸いにくいので、長めにつけておきましょう。また、1日つけておくと水が糠臭くなるので水を替えましょう。

その4 炊く時の注意

玄米と白米を混ぜて炊く場合は、白米を研いでから玄米を足しましょう。水の量を少し多めにするのがコツです。玄米と白米の割合に合わせて水加減を調整しましょう。また、塩を少々(小さじ1/2~2/3程度)加えると、においを抑えてもっちり柔らかくなりやすいです。

玄米特有のにおいや、プチプチした食感が好きな人は、白米と全く同じ手順でも炊けますので、好みに合わせて作りましょう。

お米の計量

ポイント
柔らかくする場合は長めに水に浸ける
水につける時に塩を少々(小さじ1/2)加えると水が浸透しやすくなり、柔らかくなる

 

圧力鍋を使った玄米の炊き方

 圧力鍋を使うと、炊飯器で炊くよりもやわらかく炊けます。
圧力鍋で炊く手順は、炊飯器で炊く場合のその3まで同じです。

圧力鍋

炊飯器の場合と同じように、柔らかくしたいときは塩を少々(1/2~3/2程度)加えます。

1.強火で加熱し、圧力がかかったら、弱火で18分加熱します。
2.火を消したら、余熱で15分ほど蒸らします。
3.圧力が抜けたらかき混ぜて出来上がりです。

圧力鍋で炊いた玄米

 

圧力鍋を使った玄米の炊き方は各所で紹介されていますが、圧力鍋を使うことで栄養素が失われるという説に関しては、明確な根拠がありません。

1. 玄米を炊いた場合のB1残存量は, 圧力鍋で56~64%常圧鍋で72%となり, 圧力鍋での損失量が約10%大きかった。
2. 大豆を煮た場合のB1残存量は, 圧力鍋で65~70% (豆中57~60%, 煮汁中8~9%), 常圧鍋で51% (豆中50%, 煮汁中1%) となり, 圧力鍋での損失量が約15~20%少なかった。
3. さつまいもを蒸した場合のB1とCの残存量は, でんぷんα化度約90%で比較すると, 圧力鍋でB1 73%, C54%, 常圧鍋で, B1, Cともに85%となり, 圧力鍋での損失量がB1で約10%, Cで約30%大きかった。
4. 大豆調理時の煮汁中への窒素とアミノ酸の溶出量は圧力鍋で常圧鍋の約1.5倍大きかった。また溶出されやすいアミノ酸トリプトファン, アルギニン, アラニン, グルタミン酸, セリンの順で, アミノ酸の溶出パターンは, 両鍋で差異はなかった。

『現代農業 88(12)』(農山漁村文化協会 2009)
マクロビオティック料理 玄米食養家庭料理800種』(桜沢里真著 日本CI協会 1981)
『あたりまえおばさんの玄米クッキング』
『台所は薬局食物は薬 暮しの中の玄米・自然食健康法』(内海正彦著 白揚社 1982)
ESSE = エッセ 2002年7月』(フジテレビジョン 2002)
栄養素についての記述なし

 

 土鍋で炊く場合

土鍋で玄米を炊くコツは、炊飯器で炊く場合のその3まで同じです。
金属鍋で炊く場合も同じ手順でおいしく炊けます。

土鍋

1.沸騰するまで中火で5~10分加熱します。
2.弱火にして30分加熱します。
3.火をとめて、15分~20分ほど蒸らします。



上手に炊けると「かに穴」ができる仕組み

ご飯を炊くときに、十分な火力の火でしっかり加熱すると「かに穴」ができます。この「かに穴」がおいしく炊けた目印です。かに穴の名前の由来は、砂浜でカニが隠れている穴に似ていることから「かに穴」と呼ばれます。

かに穴


どうしてかに穴がおいしく炊けた目印なのかというと、火力が強いと水蒸気の泡がたくさんでます。泡の流れが釜の中に対流を起こし、釜の中の米がかき混ぜられて、万遍なく熱が伝わります。そして、十分に加熱されたお米はふっくらと炊き上がるのです。

 かに穴ができる仕組み
玄米だけだと食べにくいという場合は、白米に混ぜてると食べやすくなります。さらに、栄養価も何倍にも増加します。普段の食事に取り入れて、味のアクセントに、健康の増進に、美味しく食べましょう。


玄米に含まれる毒の誤解

アブシジン酸とフィチン酸の毒が身体に有害であるとの意見が散見されます。
詳細については玄米の毒について広がる誤解「アブシジン酸」と「フィチン酸」をご覧ください。

アブシジン酸とフィチン酸は毒性がない

 玄米に含まれる成分には、毒性があるといわれている成分があります。アブシジン酸とフィチン酸です。

アブシジン酸は、発芽玄米にするだけで無毒化できます。発芽する事でアブシジン酸はファゼイン酸に変わり無毒化します。
フィチン酸については、悪影響の証拠は発見できないとされています。さらには、乳がん治療の副作用を軽減するとの結果も出ています。


フィチン酸のキレート(包み込んで排出)が細胞を守る

フィチン酸は鉄の原資を取り囲みキレート(包み込んで排出)する事で細胞が傷つくことから守ってくれます。


 圧力鍋でごはんを炊くとアクリルアミドが発生するという誤解

ポテトチップスなどの食材に関して、アクリルアミドという発がん性物質が含まれることがわかっています。このアクリルアミドという物質は「揚げる」、「焼く」、「炒める」など、食材を120℃以上で加熱したときに生成します。特に、加熱調理により食材に含まれている水分が少なくなってから多く生成します。



そして、圧力鍋で料理をつくった場合にもアクリルアミドが発生するという誤解が広まっているようです。しかし、実際はほとんどできないことがわかっています。詳しくは

玄米の毒が危険という誤解「アブシジン酸」と「フィチン酸」について - 玄米の知恵袋

にあります。

圧力鍋を使った調理では、温度が120℃以上になる場合があります。
そこで農林水産省は、一般的な加圧調理によってアクリルアミドがどの程度できるか研究しました。その結果、通常の圧力鍋の調理条件で加圧調理したお米や野菜では、アクリルアミドがほとんどできないことがわかりました。
アクリルアミドを減らすために、加圧調理を避ける必要はありません。


食品中のアクリルアミドについて、よくある質問と回答を掲載しています。
よくある質問:農林水産省

白米や玄米を圧力鍋で炊いた場合も、鍋の内部が120℃以上になるため、アクリルアミドが発生するという誤解が散見されます。通常の圧力鍋で調理したお米や野菜では、アクリルアミドがほとんどできないそうです。

 

結論:世界一おいしいお米

同じものばかり摂取しつづけると野菜や大豆、卵、牛乳などの体に良いとされるものでさえマイナスに働いて、身体に負荷を与えることがあります。偏らないようにいろいろな食材をバランス良く食べることが、良い結果をもたらすのではないでしょうか。

日本のお米は世界一おいしいと思います。
白米と一緒に、ぜひ玄米も食べてみてください。

 

出典

圧力鍋調理後のビタミン残存量と煮汁中へのアミノ酸溶出量 J-STAGE 2019/08/15 確認

よくある質問:農林水産省 農林水産省 2019/08/15 確認